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移民問題を考えるための参考書オススメ

オススメの書籍はありますか?

僕は、コレです。


エマニュエル・トッド「移民の運命」


家族構成と移民に対する対応を、雑誌やテレビの評論等とは、明らかに異なるレベルで分析しています。

構造主義的な発想なので、時代変遷・文化交流に伴う変動には対応できていないかもしれませんが、過去(1980年代)までの分析としては非常に優れていると思います。


移民への対応は、基本的に「同化」か「隔離」である。「隔離」で被差別意識がなくなったり、良好な関係が進展するケース(多文化主義の成功例)は、ほぼない。


判断する非常に有効な指標は、移民女性の(非移民・同化済み男性との)外婚比率。

差別されたグループの家族構成は破壊され、母子家庭や離婚率が著しく高まっている。


また、家族構造の裏にある価値観。男女の差異、兄弟の差異、内婚の有無及び程度、直系家族可共同体家族か核家族か、識字率(特に女性)や人口構成も影響すると考えられる。


移民の歴史を具体的に検討したものとして、アメリカ(黒人差別が酷いが、イタリア人・メキシコ人・アジア人等は同化が進む)、イギリス(人種・宗教での区別は小さく、階級での区別が大きい)、フランス(共同体・内婚制の一部アラブ人以外は、外婚制のアラブ人も含め同化が進む。)、ドイツ(東欧スラブ人の同化に成功。イスラム・内婚制のトルコ人は同化せず)。